一般社団法人斜面防災対策技術協会 富山支部
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「国際砂防フォーラム」協賛イベント
富山県治水砂防協会設立70周年」記念事業
「深層崩壊について考える」〜台湾・高雄縣小林村の災害に学ぶ〜
を平成22年2月18日(金)に開催しました。

  • 主 催: (社)斜面防災対策技術協会富山県支部、富山県治水砂防協会、
         NPO法人富山県砂防ボランティア協会
  • 後 援: 富山県、北日本新聞社、日刊建設通信新聞社北陸支局、
         富山県地質調査業協会、(社)地盤工学会北陸支部、
         NPO法人富山県地すべり防止工事士会、
         グリーンキャスター事業協同組合
  • 協 力: 富山大学大学院理工学研究部、立山砂防女性サロンの会

講演会を開催して

 近年のゲリラ豪雨などにより山腹斜面が大きく抉られた大崩壊(以下「深層崩壊」と言う)を起因とする土砂災害が世界各地において多く発生しています。この現状を踏まえ、当支部に於いては、昨年の11月に2009年に台湾の高雄縣小林村で発生した「深層崩壊」の現地を視察、その視察の成果として、現地で学んだ事項を基に講演会を開催しました。

 本講習会では、この「深層崩壊」に関する様々な情報について、広く県民、行政関係者、防災に携わる企業関係者等が学び、考え、自らの情報として吸収し、日常の知識として、いざというときの対策に役立つことが大切であると当支部では考えております。

 会場の高志会館には、一般市民96名(富山大学、富山国際大学の学生も参加)、国・県等の行政関係者68名、県内防災担当者、ボランティア関係者、建設関係技術者、当協会の会員126名、総勢290名の参加を得て開催しました。

富山県治水砂防協会設立70周年」記念事業 会場の様子

 なお、本講習会は、昨年10月に富山県において「国際砂防フォーラム2010」が開催されましたが、その協賛イベントとして位置づけるとともに、長年にわたり富山県の砂防事業の推進に努めてきました「富山県治水砂防協会」が今年、70周年を迎えるに当たり、その記念事業としております。


講習会の次第(開場 13:00)

開会(13:30)

  • 挨拶 (社)斜面防災対策技術協会富山県支部長 村尾 于尹

主催者を代表して、村尾支部長が挨拶を行いました。

挨拶:村尾 于尹

特別講演

特別講演 原 義文グループ長

 「日本における深層崩壊の特徴と危険度評価」と題して、独立行政法人 土木研究所 土砂管理研究グループ 原 義文グループ長から講演を頂きました。

 原氏は深層崩壊の特徴、恐れのある地域についてこれまでの事例を基に解析を行い、全国の起きやすい地形と恐れの高い渓流を抽出し、その発生の適用性を検証して、全国の深層崩壊の発生危険度マップを作成したと講演されました。


基調講演

基調講演 中村 浩之名誉教授

 「深層崩壊の謎にせまる」と題して、東京農工大学 中村 浩之名誉教授 から講演を頂きました。

 中村名誉教授には、昨年11月に当支部が主催しました海外視察「台湾・高雄縣小林村の現地視察」に同行いただき、技術的なご指導を頂きました。

 講演では、地すべりと崩壊の違い、崩壊における表層崩壊と深層崩壊の違いを説明されました。

 表層崩壊の危険箇所は「通常の集中豪雨時に崩壊する斜面」であり、深層崩壊発生危険箇所は「通常の手中豪雨では崩壊しない斜面」に区分出来るとの見解でした。また、地震による崩壊の発生は震度6以上で発生し、震度が大きくなると深層崩壊が発生しやすいとの見解を示されました。

<休憩>

海外視察報告

海外視察報告 吉友嘉久子氏

 「インドネシア ムラピ火山の現地を訪ねて」と題して、立山砂防女性サロンの会 アドバイザー(オフィス吉友代表) 吉友嘉久子氏から講演を頂きました。

 「立山砂防女性サロンの会」は結成されて、平成23年度で10周年を迎えます「女性だけの会」であり、会員数が300名を超える組織です。吉友氏はこの会の創始者であり、現在も会のアドバイザーとして中心的な立場で会の会長である尾畑氏(富山国際大学教授)を支えている方です。

 この会では毎年、砂防に関する「海外視察」を行っており、昨年9月にはインドネシアのジョクジャカルタの「メラピ火山」周辺を視察され、その時の模様を講演されました。

現地視察報告

現地視察報告 竹内 章教授

 「台湾・高雄縣甲仙郷小林村における深層崩壊について」と題して、富山大学大学院理工学研究部地球環境システム学系(地質学) 竹内 章教授にご講演を頂きました。

 竹内教授には、一昨年の中国の四川省の視察に引き続き、昨年11月に当支部が主催しました海外視察として、2009年8月に発生しました「台湾・高雄縣小林村の災害現地視察」の際にも、団長として参加をいただき、技術的なご指導を頂きました。

 講演では、小林村で発生しました大規模な深層崩壊について、現地の地形、地質、災害時の降雨状況等を踏まえ、発生のメカニズムやこの災害から得られた教訓について講演を頂きました。

現地視察報告

現地視察報告 須田 明弘主任

 「台湾・高雄県小林村の現地を視察して」と題して、ダイチ(株) 須田 明弘主任から報告がありました。

 須田主任は昨年の支部が行いました「台湾・高雄縣小林村の災害現地視察」に参加をし、若手の技術者4名((株)村尾地研:野坂 徹、共栄興業(株):藤川浩一、(株)アーキジオ:石田 稔)を代表して報告を行いました。

 報告では小林村及びその周辺の災害の概要や視察の範囲、現地での案内・指導を頂いた中華防災会の「王 文能理事」国立成功大学防災センターの「頼 文基副主査」工事現場の責任者である立成工程顧問有限公司 頼 宗成社長から聞いた様々な情報を基に今回の視察の成果を報告しました。最後に、支部が国、県、市町村の関係機関と「災害協定」を締結し、災害地の調査、応急処置を行っていることも紹介されました。

閉会挨拶

 富山県治水砂防協会 副会長の澤ア 義敬市長から、講師への感謝と多数の参加者に対するお礼、今後、富山県の斜面防災対策に積極的に取り組んでいきたいとの挨拶が有り、閉会しました。

閉会挨拶:澤ア 義敬市長

意見交換会

 講演会終了後は、講演を頂いた講師を囲み「意見交換会」が同会館にて開催され、多くの方々に参加を頂き、有意義に講演会、意見交換会を終了することが出来ました。