一般社団法人斜面防災対策技術協会 富山支部
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鹿児島県桜島火山災害調査結果

日程

平成29年10月24日(火)〜10月26日(木)の日程で、国土交通省所管の桜島火山災害現場と鹿児島県庁所管の砂防事業現場の調査を行いました。
参加メンバーは、竹内章富山大学名誉教授を団長にした16名で、今回はその調査団の中に、富山県立大学環境工学科学生2名にも参加していただきました。

現地調査

【国土交通省大隅河川国道事務所の火山砂防事業】
桜島の火山砂防事業は、桜島が現在も活動中で、南岳と桜島の火口半径2km圏内は警戒区域で立入禁止となっており、土石流の発生源対策はできる状況ではないので、土石流の流下を抑制するとともに、土石流を安全に海まで流すことを対策の基本としていました。
桜島国際火山砂防センターでは、砂防工事の現況、工事中の安全対策、火山活動の監視・観測体制と地殻変動監視・観測などの説明を聞きました。
その後、現地は、大規模な噴火などの立ち入り禁止区域外で、火山土石流対策工事を実施している状況を調査しました。

【鹿児島県の砂防事業】
(1)急傾斜地崩壊対策事業(鹿児島市田上地区)
当地区は、鹿児島の中央部に位置し、がけ高59m、勾配47度の急傾斜地でした。斜面上下部ともに人家が密集しており、斜面崩壊の危険度が高いため、地元からの防災対策への強い要望もあることから緊急な対策が必要であり、擁壁工と法枠工による対策工事が実施されていました。

(2)災害関連緊急砂防事業(垂水市二川深港地区)
当地区の地質・地形の特徴は、火砕流堆積物、火山灰質粘性土層が分布する複雑な地層構成で各層の透水性の違いにより境界部での湧水が発生しやすく、また、周辺山地から地下水が谷沿いに集まりやすい地形状況でした。このため、平成27年6月の連続雨量1,300mmの降雨により、土石流災害が発生した現場でした。
対策工事は、有人施工が危険なため、遠隔操作による無人化施工により砂防堰堤工事が行われていました。
斜面上部では、地下水の排除のため集水井による排水ボーリングが実施されていました。
また、垂水市深港地区では、今回の災害を機に避難基準の見直しを行い、今後の災害に対応されていました。

(3)火山砂防事業(鹿児島市桜島西道町地区)
当地区は、桜島の北側に位置し、流域には桜島火山の火山噴出物が堆積し非常に脆弱な地質となっており、荒廃が著しくガリー浸食の発達した斜面のため、少量の降雨でも土石流の発生が懸念され、流域直下にある人家、県道、小学校等に被害の恐れがありました。
この対策のため、砂防堰堤2基(不透過型)と土石流堆積工による対策工事を実施していました。

おわりに

今回の桜島火山災害地調査では、火山災害の恐ろしさと、火山砂防工事、工事の安全対策、火山の監視・観測体制など防災対策の重要性について身を持って感じました。
この調査で得た貴重な体験については、会員はもとより、広く県民に伝える必要性が重要であると考えています。
この現地の詳細結果については、平成30年2月に開催します「平成30年 斜面防災対策技術講演会」での発表を予定しています。