一般社団法人斜面防災対策技術協会 富山支部
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2018 斜面防災対策技術講演会

「近年の土砂災害の教訓と対策」
〜「安全」な県土を構築し「安心」な暮らしを〜

をテーマとした技術講演会を平成30年2月9日(金)、富山市内のホテルグランテラス富山で開催しました。

○主催: (一社)斜面防災対策技術協会富山支部、富山県治水砂防協会、NPO法人富山県砂防ボランティア協会
○後援: 富山県、北日本新聞社、日刊建設通信新聞社北陸支局、富山県地質調査業協会、(公社)日本地すべり学会中部支部、(公社)地盤工学会北陸支部、NPO法人富山県地すべり防止工事士会、グリーンキャスター事業協同組合、立山・神通砂防スペシャルエンジニア、立山砂防女性サロンの会

 講演会場のホテルグランテラス富山には、協会員のほか一般県民、国・県・市町村等の行政関係者、NPO法人砂防ボランティア協会員、立山砂防女性サロンの会員、関係協会など約430名の参加があり、盛会に開催できました。
 本講演会が、「土砂災害」に関する様々な情報について、広く県民、行政関係者、防災に携わる企業関係者等がハード、ソフト両面から学び、自ら考える機会となり、今後いざという時の対策に大いに役立ち、実りある成果があったものと考えております。

開 会(13:30)

開 会 挨 拶 (一社)斜面防災対策技術協会富山支部長 田中 洋一郎

 主催者を代表して、田中支部長から「災害は必ずやってくる。自分の身は自分で守ることを原点に、様々な視点から防災意識を身に付けることが大切である。今日の講演会が災害の実態を学ぶ機会となり、防災に対する意識の向上になればと思っている。」と挨拶がありました。

田中洋一郎 支部長

田中 洋一郎 支部長

会場全景

会場全景

基 調 講 演(13:35〜14:35)

 「近年の土砂災害の教訓と対策」と題して、(一社)全国治水砂防協会 西山幸治技術顧問から講演を頂きました。西山技術顧問からは、国内とヨーロッパの砂防の変遷を説明した上で、これからの砂防について、山腹緑化などの生態学的手法、環境などの工学的手法、土地利用の合理化などの社会科学的な手法を積み重ねる一方、人工衛星、ビックデータといった発達する技術を活用し、予兆や状態を管理していく対策がさらに加わる。との説明がありました。最後に、砂防関係の法律の編成、砂防行政の展開・目指すものなどでは、土砂災害の特徴と留意点、減災の取り組みや砂防事業の効果などソフト、ハード面から具体的に分かりやすく講演して頂きました。

西山幸治 技術顧問

西山 幸治 技術顧問

体 験 報 告 1(14:35〜14:55)

 立山砂防女性サロンの会 会員の 深海 美子氏 からは、「オーストリアの防災視察」と題しまして講演を頂きました。立山砂防女性サロンの会では、2004年以来、毎年、海外研修を実施されており、今回は、昨年視察されたオーストリアの土砂災害の報告のほか、ウィ−ン農科大学での講義の聴講、ウィ−ンでの現地女性団体との交流会やブタペスト世界遺産等についての紹介などについて、具体的に説明を頂きました。

深海 美子氏

深海 美子氏

体 験 報 告 2(14:55〜15:15)

 斜面防災対策技術協会富山支部では、平成25年度から国土交通省立山砂防事務所の協力を得、斜面防災の重要性を知ってもらうため、常願寺川流域の小学生を対象に直接カルデラ内で防災事業等を体験する勉強会を企画しています。今年度は、立山町立立山中央小学校6年生に昨年9月、体験学習をしてもらいましたので、その感想を発表して頂きました。
 6年生は総合学習の時間を中心に「立山の魅力」について学習を進めてきました。立山の歴史、立山カルデラ砂防博物館、立山信仰、砂防などの現地訪問や砂防の実験をするなど、テーマに沿って取り組んできました。その中でも、立山を源流とする常願寺川は、洪水の無い川のイメージでしたが、これまでも何度も洪水を繰り返し、大きな災害が発生したことを知ったそうです。
 今回のカルデラの体験学習会では、白岩砂防堰堤について、「覗き込むと足が震えるほど高かった。この堰堤のおかげで、私たちの町に災害が起きなかった。造った人たちに感謝したい。」との感想がありまあした。下流の暮らしを守るために、多くの人が砂防工事に従事している様子を見て、立山について多くを学ぶとともに、先人の尽力により、安全な毎日を送ることができることに感謝の気持ちと、改めて、故郷に誇りを持つことができたそうです。

立山中央小学校6年1組

立山中央小学校6年1組

(休憩15分)

技 術 報 告(15:30〜16:00)

 昨年1月に発生した、南砺市上百瀬土砂災害の概要と協会の対応について、NPO法人富山県地すべり防止工事士会から報告をして頂きました。
 初めに、野坂 徹会長から土砂災害の発生状況の詳細、地質調査と工事の進捗状況を説明して頂きました。
 次に、矢野 亨副会長から土砂災害の監視体制について、災害協定による応急対策業務の内容と監視体制の概要、監視機器の設置状況などの詳細について説明して頂きました。

野坂徹氏

野坂 徹氏

矢野亨氏

矢野 亨氏

技 術 報 告(16:00〜17:10)

 昨年10月に協会支部主催で実施した「桜島火山災害調査」の技術報告をして頂きました。
 まず初めに、「桜島火山災害の地質背景について」と題して、富山大学の竹内章名誉教授から講演を頂きました。先生からは、桜島とマグマだまりの位置関係、震源分布、地層全般、桜島火山の活動状況、火山警報・予報などの火山情報などについて、専門の地震地質学の観点から講演を頂きました。

竹内章名誉教授

竹内 章 名誉教授

 竹内名誉教授の講演を受けて、三和ボーリング鰍フ杉山 茂久地盤調査部長から、「桜島現地研修会の報告」をして頂きました。内容としては、桜島火山について、岩質、噴火の歴史、噴火による災害、また火山灰が日常生活もたらす影響と火山岩の工学的性質について、詳しく説明してもらいました。

杉山茂久氏

杉山 茂久氏

 次に、今回の調査に参加して頂きました、富山県立大学環境工学大学院の長谷川 雅俊氏から、「桜島火山災害の取り組みについて」と題して、調査した国土交通省大隅河川国道事務所と鹿児島県の所管の現場、5か所について、調査箇所、地形・地質、気象状況の説明と、地区ごとの崩壊の現象、また、砂防施設の効果、現在の復旧状況など具体的に現地視察に基づいて詳しく説明してもらいました。

長谷川雅俊氏

長谷川 雅俊氏

技 術 報 告(17:10〜17:30)

 共栄興業轄H事部の尾近 正信工事課長から、昨年9月にグリーンキャスター事業協同組合で、森林保全の先進地調査として静岡県へ視察に行ってきた内容を「森林保全(フルボ酸)の静岡県での先進地調査報告について」と題しまして報告して頂きました。
 森林保全の取り組みを行っている静岡県小山町の紹介と小山町の地質、富士山の火山対策、近年の災害 山地強靭化の取り組みなどの説明の後に、フルボ酸を使った森林保全について、住民参加の体験施工、フルボ酸の植生効果などについて、具体的に説明を頂きました。

尾近正信氏

尾近 正信氏

閉 会(17:30)

閉 会 挨 拶 NPO法人富山県砂防ボランティア協会会長 石崎 信夫

 石崎会長から、講師へのお礼と多くの参加者に対するお礼、「今後とも、講演会を開催し続け、土砂災害に関する記憶をアップデートする機会をつくっていくので、積極的な参加をお願いしたい。」との挨拶があり、閉会しました。

石崎信夫 会長

石崎 信夫 会長

講 師 を 囲 む 会

 講演会終了後は、講演を頂いた講師を囲み「講師を囲む会」が開催され、多くの方に参加を頂きました。予定していた時間もあっという間に過ぎるなど、有意義に懇談して終了することができました。

パ ネ ル 展 示

 会場では、桜島火山災害調査、利賀村上百瀬土砂災害、九州北部豪雨災害、立山カルデラ砂防勉強会と立山黒部ジオパークのパネルを展示し、県民、防災関係者など多くの方に見ていただきました。

パネル展示

パネル展示