一般社団法人斜面防災対策技術協会 富山支部
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熊本地震災害の復旧・復興調査の実施結果

はじめに

 当協会では、熊本地震災害が発生した年の平成28年11月に災害調査を実施しました。
 今回は、その災害の復旧・復興について、平成30年10月17日(水)〜10月19日(金)の日程で調査を行いました。
 調査は、竹内章富山大学名誉教授を団長にして団員24名で行いました。その調査団に、富山県立大学環境・社会基盤工学科4年生2名にも参加していただきました。

被害状況

 平成28年4月14日21時26分、熊本県熊本地方を震央とするマグニチュード6.5の地震(前震)が発生、さらに4月16日1時25分には、マグニチュード7.3の地震(本震)が発生し、熊本県西原村と益城町で震度7を観測、その後も余震が続いていました。
 これら一連の地震により、土石流等57件、地すべり10件、がけ崩れ123件、死者15名の土砂災害が発生しました。

現地視察

 国土交通省九州地方整備局阿蘇復興事務所で実施の「阿蘇大橋付近の大崩壊地」と熊本県が実施の「高野台地区の地すべり」の2箇所を調査しました。
 また、震源地の益城町に発生した活断層の調査も行いました。

(1)阿蘇大橋付近の大崩壊地

  阿蘇大橋付近の大規模崩壊地は、斜面長約700m、幅約200m、深度約20m、崩壊土量約50万?の崩壊で、この大規模な崩壊によりJR豊肥本線、国道57号を完全に埋没させ、阿蘇大橋も消失しました。
 この被災箇所は、崩壊規模が大きく、周辺斜面にも多くの亀裂があるため、崩壊の拡大の恐れのある不安定岩盤を調査して取り除く対策が実施され、その施工は、余震などによる新たな土砂崩壊の恐れがあることから、遠方の安全な場所より操作が可能な無人化機械により施工していました。
 現在、斜面上部の堆積土砂の除去と斜面上部のネット工の施工が完了し、9月から、有人作業で中腹部の土留盛土より上部の土留工・山腹工の施工が行われていました。今後は、斜面上部では、斜面の安定化と植生回復のためのネット工の施工、斜面部中下部では、土砂の流出を防止するための土留工や柵工の施工が予定され、完成となります。
 今回の対策工事の特徴は、「ネットワーク対応型無人化施工システム」で、より安全に、より早い施工、長大な危険斜面におけるロッククライミングマシンでの施工でした。
 また、調査・設計・施工・管理一連の総合的なi−Constructionを採用して工事が進められていました。

大規模崩壊地復旧の説明

大規模崩壊地復旧の説明

大規模崩壊地の復旧工事の全景

大規模崩壊地の復旧工事の全景

(2)高野台地区の地すべり

 高野台地区の地すべりは、中央頂部に京都大学火山研究所がある円丘状の火口丘の斜面で、本震時に幅約100m、長さ約260m、深さ約10m程度の地すべり移動があり、移動土塊は流動性が高く、一部は別荘地に流れ込んで、全半壊11戸、死者5名の被害が生じました。
 火山研究所がある頂部にも亀裂が多く見られ、火山研究所の建物も被災している状況でした。
 今回の対策工事の状況は、不安定な移動土塊を除去し、法面整形工と排水処理が施工され、今後は法面緑化をして完成する予定でした。

高野台地区復旧工事の概要説明

高野台地区復旧工事の概要説明

高野台地区復旧工事の全景

高野台地区復旧工事の全景

(2)高野台地区の地すべり

 高野台地区の地すべりは、中央頂部に京都大学火山研究所がある円丘状の火口丘の斜面で、本震時に幅約100m、長さ約260m、深さ約10m程度の地すべり移動があり、移動土塊は流動性が高く、一部は別荘地に流れ込んで、全半壊11戸、死者5名の被害が生じました。
 火山研究所がある頂部にも亀裂が多く見られ、火山研究所の建物も被災している状況でした。
 今回の対策工事の状況は、不安定な移動土塊を除去し、法面整形工と排水処理が施工され、今後は法面緑化をして完成する予定でした。

高野台地区復旧工事の概要説明

高野台地区復旧工事の概要説明

高野台地区復旧工事の全景

高野台地区復旧工事の全景

(3)益城町の活断層

 平成28年4月の熊本地震により発生した地表地震断層の調査研究が益城町により実施され、この「布田川断層帯(堂園地区)」の断層運動の痕跡は、日本においても学術上価値が高く、災害遺構としても大変貴重であることが認められ、平成29年11月、国指定の天然記念物に答申されていました。
 現地は、堂園地区の圃場に約180mにわたり地表に露出した地表地震断層で、その横ずれ変位の最大幅は約2,5mでした。

堂園地区の地表地質断層の横ずれ変位

堂園地区の地表地質断層の横ずれ変位

堂園地区の説明

堂園地区の説明

今回の結果

 今回の災害地視察では、地震災害の恐ろしさと、災害に備えるソフト・ハード面での防災対策の重要性について身を持って感じました。
 また、確実に地震災害の復興・復旧に向けて着実に対策が進んでいました。
 この視察で得た貴重な体験については、会員はもとより、広く県民に伝える必要性が重要であると考えています。