一般社団法人斜面防災対策技術協会 富山支部
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2019 斜面防災対策技術講演会

「頻発する土砂災害の状況とその対応策は」
〜「安全」な県土による「安心」な暮らしを〜


をテーマとした技術講演会を平成31年2月13日(水)、富山市内のホテルグランテラス富山で開催しました。

○主催: (一社)斜面防災対策技術協会富山支部、富山県治水砂防協会、NPO法人富山県砂防ボランティア協会
○後援: 富山県、北日本新聞社、日刊建設通信新聞社北陸支局、富山県地質調査業協会、(公社)日本地すべり学会中部支部、(公社)地盤工学会北陸支部、NPO法人富山県地すべり防止工事士会、グリーンキャスター事業協同組合、立山・神通砂防スペシャルエンジニア、立山砂防女性サロンの会

〜講演会の開催結果〜

講演会場には、協会員のほか一般県民、国・県・市町村等の行政関係者、NPO法人砂防ボランティア協会員、立山砂防女性サロンの会員、関係協会など約420名の参加があり、盛会に開催できました。
本講演会が「土砂災害」に関する様々な情報について、広く県民、行政関係者、防災に携わる企業関係者等がハード、ソフト両面から学び、自ら考える機会となり、今後いざという時の対策に大いに役立ち、実りある成果があったものと考えております。

開 会(13:30)

開 会 挨 拶 (一社)斜面防災対策技術協会富山支部長 田中 洋一郎

主催者を代表して、田中支部長から「近年多発する自然災害と経済社会に及ぼすその大きさを紹介 した上で、調査・点検といった事前の防災対策にしっかり取り組むことが結果として効果的な防災予算の使い方につながる。防災技術の向上で県民が安心できる地域づくりに貢献したい。」と挨拶がありました。

田中洋一郎 支部長

田中 洋一郎 支部長

会場全景

会場全景

基 調 講 演(13:40〜14:40)

「土砂災害と対応策の発展」と題して、(一財)砂防・地すべり技術センター 冨田 陽子企画部長から講演を頂きました。
冨田氏からは、過去40年間の土砂災害と対応状況と平成30年の土砂災害の被害実態についての詳細な説明がありました。また、土砂災害の新たな対応として、無人化施工をはじめ、土砂災害危険マップの公表、砂防施設の効果評価シュミレーション、流木対策、新たな土砂洪水氾濫対策などの説明がありました。
さらに、過去40年間を振り返り、「昨年は土石流など土砂災害の発生件数が集計開始以降、最多となった。」と指摘がありました。土砂災害の特徴と留意点、減災の取り組みや砂防事業の効果などソフト、ハード面から具体的に分かりやすく講演して頂きました。

西山幸治 技術顧問

冨田 陽子氏

体 験 報 告 1(14:40〜15:10)

立山砂防女性サロンの会会員の山崎 列子氏からは、「ビナツボ噴火の被災地を訪ねて」と題しまして講演を頂きました。
立山砂防女性サロンの会では、2004年以来毎年海外研修を実施されており、今回は昨年視察されたフィリピン・ルソン島のビナツボ火山噴火について、火山噴火の状況、河川の噴火堆積物の状況、土石流を貯めるための巨大堤防、教会の埋没状況など、被災地の報告のほか、現地での生活状況、交通状況や現地の方との交流会などについて、具体的に説明を頂きました。

深海 美子氏

山崎 列子氏

体 験 報 告 2(15:10〜15:30)

NPO法人富山県砂防ボランティア協会の林 徹副会長から、今年度の子供防災教室(富山市立太田小学校5年生)について報告がありました。残念ながら昨年9月に予定していた体験学習が台風21号により中止となった報告があり、小学5年生が総合学習の時間を中心に出前講座で「立山カルデラ」について学習を進め、国土交通省立山砂防事務所からは立山砂防の紹介、立山カルデラ、常願寺川の土砂災害、砂防堰堤の働きなどの学習、NPO法人富山県砂防ボランティア協会からは砂防堰堤の働きなどの実験で学習した内容を具体的に紹介して頂きました。
なお、斜面防災対策技術協会富山支部では、平成25年度から国土交通省立山砂防事務所の協力を得、斜面防災の重要性を知ってもらうため、常願寺川流域の小学生を対象に直接カルデラ内で防災事業等を体験する勉強会を企画しています。

立山中央小学校6年1組

林 徹氏

(休憩15分)

技 術 報 告(15:50〜15:30)

昨年10月に協会支部主催で実施した「熊本地震災害復旧・復興調査」について、まず初めに「熊本県阿蘇地域の地質特性について」と題して、富山大学の竹内 章名誉教授から技術報告をして頂きました。
先生からは、熊本地震に関係する「九州のひずみ集中帯と地震」「熊本県の表層地質図」「斜面崩壊の概要」「崩壊斜面の地質構造」「崩壊滑落崖周辺の不安定土砂の評価」「地質調査結果と崩壊に関する考察」や「不安定土砂の排土工法」などについて、専門の地震地質学の観点から講演を頂きました。

野坂徹氏

竹内 章氏

技 術 報 告(16:20〜17:10)

竹内氏の講演を受けて、共栄興業葛Z術部技術課の木田 晃介主任から「熊本地震災害の復旧・復興の取り組みについて」と題して、具体的に説明して頂きました。
内容としては、熊本地震の概要、土砂災害の概要の説明、被災地の復旧・復興状況についての具体的な説明、阿蘇大橋地区、火の鳥温泉地区、高野台地区について被災直後と現在の対策状況を対比して、復旧の進捗状況を説明してもらいました。また、熊本城の復旧状況についても詳しく説明してもらいました。

竹内章名誉教授

木田 晃介氏

次に、今回の調査に参加して頂きました富山県立大学環境・社会基盤工学科4年の梅島 樹氏から、同様の演題で、調査した阿蘇火山博物館の概要と高野台地区土砂災害、火の鳥温泉地区土砂災害と阿蘇大橋地区の土砂災害について、また、益城町の活断層、熊本城の復旧作業など、現在の復旧状況など具体的に現地視察に基づいて詳しく説明してもらいました。

杉山茂久氏

梅島 樹氏

技 術 報 告(17:10〜17:30)

富山県土木部 森田 耕司砂防課長から、昨年10月に富山で開催された「(国際防災学会)インタープリベント2018の開催結果について」と題しまして報告して頂きました。
森田氏からは、インタープリベント2018について、開催趣旨、過去の開催状況、今回の開催状況、開会式、石井驤齦x山県知事の開催県挨拶と立山砂防の価値の世界文化遺産登録に向けた取り組みの紹介、栗原淳一国土交通省砂防部長などの基調講演の説明がありました。
次に2日目以降の口頭発表、ポスターセッション、行政展示、企業展示などの紹介、さらに立山砂防のPR、立山砂防の急流対策・黒部川の総合土砂管理、神通川水系火山災害と砂防、県内観光等5コースのエクスカーション(現地視察)の紹介がありました。
最終日はパネルデスカッションと富山宣言、閉会式があり、富山宣言では「立山砂防は、防災の総合技術を有し、総合的な防災水系管理で、世界中の中山間地に適用し得る普遍性のある防災技術であるなど、立山砂防は顕著な普遍的価値を有しており、今後世界の人々の参考となるよう、人類共通の遺産とし共有していくべきものである。」と発表されたとの報告がありました。その後、富山県の立山砂防の世界文化遺産登録に向けた具体的な取り組みなどについても具体的に説明を頂きました。

尾近正信氏

森田 耕司氏

閉 会(17:30)

閉 会 挨 拶 NPO法人富山県砂防ボランティア協会会長 石崎 信夫

石ア会長から、講師へのお礼と多くの参加者に対するお礼、「熊本地震災害の早期復旧・復興、立山カルデラの世界文化遺産登録に向けた支援について、積極的に協力していく。」との挨拶があり、閉会しました。

石崎信夫 会長

石崎 信夫会長

講 師 を 囲 む 会

講演会終了後は、講演を頂いた講師を囲み「講師を囲む会」が開催され、多くの方に参加を頂きました。予定していた時間もあっという間に過ぎるなど、有意義に懇談して終了することができました。

パ ネ ル 展 示

会場では、熊本地震災害復旧・復興調査、北海道地震災害、西日本豪雨災害、立山カルデラ砂防勉強会をパネル展示し、県民、防災関係者など多くの方に見ていただきました。

パネル展示