○主催: | (一社)斜面防災対策技術協会富山支部、富山県治水砂防協会、NPO法人富山県砂防ボランティア協会 |
○後援: | 富山県、北日本新聞社、日刊建設通信新聞社北陸支局、富山県地質調査業協会、(公社)日本地すべり学会中部支部、NPO法人富山県地すべり防止工事士会、グリーンキャスター事業協同組合、立山・神通砂防スペシャルエンジニア、立山砂防女性サロンの会 |
〜講演会の開催結果〜
コロナ禍の中での開催となりましたが、講演会場では新型コロナウィルス感染症対策を十分に行い、協会員のほか一般県民、国・県・市町村等の行政関係者、NPO法人砂防ボランティア協会員、立山砂防女性サロンの会会員、関係協会など約320名の参加があり、盛会に開催できました。
本講演会の開催により、「土砂災害」に関する様々な情報について、参加者一同ハード、ソフト両面から学び、自ら考える機会となり、今後いざという時の対策に大いに役立ものと考えております。
開 会 挨 拶
(一社)斜面防災対策技術協会富山支部長 田中 洋一郎
主催者の田中支部長から「20年前からの10年間と直近10年間の比較では、土砂災害発生件数は1.3倍に増加している。これまで以上に自然災害への備えを充実すべきと強調するとともに、協会としても防災意識の向上や安全な県土づくり、安心して暮らせる地域の創出に貢献していきたい」と挨拶がありました。
田中 洋一郎 支部長
会場全景
基 調 講 演(13:40〜14:40)
「 大規模土砂災害に備える 」と題して、(一社)全国治水砂防協会 理事長 大野 宏之 氏から講演を頂きました。
大野氏からは、近年の土砂災害事例と発生状況のお話の後、過去の大規模土砂災害を踏まえた土砂災害防止法の改正で、国や県が調査し、市町村に土砂災害緊急情報を提供できる仕組みが整理されたことなどのほか、国土強靭化関係の令和4年度第2次補正予算や令和5年度予算の概要などにも触れていただきました。
大野 宏之 氏
立山町立立山北部小学校6年生の皆さんからは、「 ありがとう 立山砂防 」と題して、立山カルデラの現地見学や立山砂防事務所の出前講座、砂防ボランティアの模型実験などで、学んだこと、感じたことを発表してもらいました。
昨年は、コロナの影響もあり、学校で収録したビデオによる発表でしたが、今年は会場での発表が可能となりました。
生徒の皆さんは、学んだことや感じたことをスクリーンに映しながら、マイクを使わずに、大きな声で立派に発表していただきました。
講演会の終了後も参加者の多くの方から、「子供たちが台本も見ずに発表し、見事だった」、「素直な感想がとてもよかった」などの賛辞をいただきました。
立山北部小学校6年生
(公財)長野県建設技術センター 理事長 田下 昌志 氏(前長野県 建設部長)からは「 長野県の災害と主要施策 」と題して講演がありました。
報告に先立ち、学校を代表して平井教頭先生からご挨拶がありました。
田下氏は、近年、長野県で発生した土石流災害の写真のほか、迫力ある現場の動画をスクリーンで紹介し、土砂災害の怖さを伝えるとともに、長野県が計画、実施するソフト、ハード両面の対策を説明いただきました。
また、ハチノコなど虫を食する文化のある長野県のことにふれ、会場の興味を引いておられました。
田下 昌志 氏
「東日本大震災のその後・南三陸を訪ねて」と題して、立山砂防女性サロンの会の 内山 政子 氏からサロンの会の活動について報告がありました。
サロンの会では、大震災の2年後の2013年3月に第1回目の訪問の後、2022年11月の訪問まで、7回の訪問を重ねてきていることや、訪問時には三陸町の地元の皆さんと交流会を開催したり、大川小学校の教室で被災体験を聞くなどして、被災者の皆さんに寄り添ってきたことを紹介していただきました。
内山 政子 氏
昨年10月に協会支部主催で実施した「浅間山噴火対策工事等視察調査」について、まず初めに、 「 概説・上信越の地形地質特性と土砂災害 」と題して、富山大学の竹内章名誉教授から技術報告をして頂きました。
先生からは、今回調査した上信越地方が、フォッサマグナ地域と呼ばれ、地殻変動による地形とその後の火山活動によって形成された地域であること、現在の自然条件は魅力ある観光地や特産物を生み出し多くの恩恵をもたらす一方で、暮らしと生命をおびやかす土砂災害のリスクが常に付きまとっているとの説明がありました。
竹内 章 名誉教授
竹内名誉教授の講演を受けて、(株)東城 管理部長 前田 秀雄 氏から、「 浅間山噴火対策工事等 視察報告 」と題して、当協会の取り組み状況にも触れながら、各地の被災状況や対策工事の状況について特に工事の専門家としての視点から、その特徴を具体的に説明して頂きました。
前田 秀雄 氏
次に、今回の調査に参加た、富山大学学術研究部都市デザイン学系4年の 長田 健 氏と富山県立大学環境・社会基盤工学科3年の 下牧 芽衣子 氏から、調査した浅間山噴火対策工事のほか、関連で視察した善光寺、地附山地すべり資料館、鎌原観音堂、八ッ場ダムの感想も盛り込み報告いただきました。
最後に、調査に参加しての感想もあり、「規模の大きな災害を見て自然災害の恐ろしさを実感した」、「今後の自分の活動に生かしていきたい」と話しておられました。
長田 健 氏 下牧 芽衣子 氏
開 会 挨 拶
NPO法人富山県砂防ボランティア協会会長 南保 仁士 氏
南保会長から、コロナ禍の中、無事開催できたことへの感謝と講師の方々や多くの参加者へのお礼ほか、この講演会が「防災意識の向上」と「安全な県土づくり」、「安心して暮らせる地域の創出」につながるようにとの挨拶があり、閉会しました。
南保 仁士 会長
会場では、国土交通省立山砂防事務所提供の「近年の土砂災害」「砂防施設の効果」のほか、「浅間山噴火対策工事」、「立山カルデラ砂防勉強会」、「土石流の模型実験」をパネル展示し、県民、防災関係者など多くの方に見ていただきました。
パネル展示
コロナの状況も落ち着いており、3年ぶりに「講師を囲む会」を行うことができました。講師の方やご来賓も含め、和気あいあいと交流を深めていただき、盛会となりました。
講師を囲む会の様子