○主催: | (一社)斜面防災対策技術協会富山支部、富山県治水砂防協会、NPO法人富山県砂防ボランティア協会 |
○後援: | 富山県、北日本新聞社、日刊建設通信新聞社北陸支局、富山県地質調査業協会、(公社)日本地すべり学会中部支部、NPO法人富山県地すべり防止工事士会、グリーンキャスター事業協同組合、立山・神通砂防スペシャルエンジニア、立山砂防女性サロンの会 |
〜講演会の開催結果〜
元旦に発生した能登半島地震の後で実施について危ぶまれましたが、このような時こそ防災に対する意識を向上させようと開催にこぎつけました。
協会員のほか一般県民、国・県・市町村等の行政関係者、NPO法人砂防ボランティア協会員、立山砂防女性サロンの会会員、関係協会など約340名の参加があり、開会に先立ち能登半島地震の犠牲者の方々に黙とうを捧げた後、講演が始まりました。
本講演会の開催により、「地震災害」、「土砂災害」に関する様々な情報について、参加者一同ハード、ソフト両面から学び、自ら考える機会となり、今後いざという時の対策に大いに役立ものと考えております。
開 会 挨 拶
(一社)斜面防災対策技術協会富山支部長 田中 洋一郎
主催者の田中支部長から能登半島地震による犠牲者の方にお悔やみが述べられたのち、「この地震を踏まえ、これまで以上に事前防災としての砂防施設整備などのハード対策と、安全な避難を促すソフト対策を組み合わせて進めることが重要になると強調するとともに、協会としても防災意識の向上や安全な県土づくり、安心して暮らせる地域の創出に貢献していきたい」と挨拶がありました。
田中 洋一郎 支部長
会場全景(黙とう)
基 調 講 演(13:40〜14:40)
「砂防の歩みから考えるこれからの防災」と題して、(一財)砂防・地すべり技術センター 審議役 (前国土交通省砂防部長)三上 幸三 氏から講演をいただきました。
三上氏からは、能登半島地震にも触れながら「日本の土砂災害対策の歩み」、「最近の土砂災害対策の動向」についてお話があり、まとめとして、「砂防の歩みから考えるこれからの防災」について砂防施設整備のハード対策と命を守る施策のソフト対策の融合が今後ますます進められるとのお考えが示されました。
三上 幸三 氏
富山市立太田小学校5年生の皆さんからは、「わたしたちのくらしと砂防」と題して、立山カルデラの現地見学や立山砂防事務所の出前講座、砂防ボランティアの模型実験などで、学んだこと、感じたことを発表してもらいました。
生徒の皆さんには、学んだことや感じたことをスクリーンに映しながら、マイクを使わずに、大きな声で立派に発表していただきました。
講演会の終了後は参加者の皆さんから盛大な拍手とともに、「子供たちが台本も見ずに発表し、見事だった」、「素直な感想がとてもよかった」など、感激した様子のお声をいただきました。
太田小学校5年生
富山県土木部参事・砂防課長 林 真一郎 氏からは「富山県内の土砂災害発生状況と対応」と題して講演がありました。
報告に先立ち、学校を代表して平井教頭先生からご挨拶がありました。
林氏は、能登半島地震と昨年6・7月の県内の豪雨災害について被害状況と、その要因について説明し、富山も決して安全ではないことを強調されました。
気象情報などの取得方法、危険度の高まりを察知し、避難について判断する重要性をお話しいただきました。
林 真一郎 氏
「薬師沢石張水路工/地附山地すべり視察」と題して、立山砂防女性サロンの会副会長の 山崎 列子 氏からサロンの会の活動について報告がありました。
昨年8月末に会員16名が立山砂防事務所長の案内で、長野県の薬師沢石張水路工(登録有形文化財)や地附山地すべりを視察した時の様子をお話しされたほか、災害の大きさを目の当たりにして、「自分たちだけは、だいじょうぶ」という気持ちはやめようと改めて思ったと視察の感想を述べられました。
山崎 列子 氏
富山大学の竹内章名誉教授からは「四国山地の地質特性と善徳地すべり」と題しての技術報告を予定していましたが、能登半島地震の発生を受け、新聞・テレビで地震についての解説をいただいていることから、地震の被害状況と発生のメカニズムについてお話しいただきました。
また、周辺の活断層の状況やプレートの配置図などにより富山県内の地震発生の可能性についても説明があり、参加者は興味深く聞き入っていました。
四国山地の地質特性についても、地質学の専門家の視点で、時間の範囲内でご説明いただきました。
竹内 章 名誉教授
昨年10月に協会支部主催で実施した「四国山地善徳地すべり対策工事 視察調査」について、三和ボーリング(株)地盤調査部長土田 尚氏から、地すべり防止技術者の視点で、四国山地の地質と地すべりの発生要因、善徳地すべりの概要、対策工とその効果について分かりやすく報告していただきました。
土田 尚 氏
次に、今回の調査に参加した、富山大学学術研究部都市デザイン学系4年の谷 一希 氏と富山県立大学環境・社会基盤工学科4年の 村上 大斗 氏から、調査した善徳地すべり対策工事のほか、関連で視察した三好市ジオパーク構想などについても報告いただきました。
谷氏は、大学で専攻している地質に関する部分を中心に、村上氏は、視察を通して学生として感じた部分を中心に報告されて、この発表も含めてこの経験を今後に生かしていきたいと言っておられました。
谷 一希 氏
村上 大斗 氏
開 会 挨 拶
NPO法人富山県砂防ボランティア協会会長 南保 仁士 氏
南保会長から、講師の方々や多くの参加者へのお礼ほか、この講演会が「防災意識の向上」と「安全な県土づくり」、「安心して暮らせる地域の創出」につながるようにとの挨拶があり、閉会しました。
南保 仁士 会長
会場では、国土交通省立山砂防事務所提供の「能登半島地震の被害状況」「砂防施設の効果」のほか、富山県砂防課の「近年の土砂災害」、協会作成の「善徳地すべり対策工事」、「立山カルデラ砂防勉強会」、「土石流の模型実験」をパネル展示し、県民、防災関係者など多くの方に見ていただきました。
パネル展示
「講師を囲む会」では、講師の方々やご来賓とともに、和気あいあいと交流を深めていただきました。
講師を囲む会の様子